どうも、カウンセラーの今野です😊
前回の記事「親として不登校の子供と、どのように関わればいいのか?」の続きになります。
今回は
行き渋りの時期とお子さんが元気になってきて不登校から動き出す時期に、どう背中を押せばいいのか?
ということについてお伝えします。
まだ前々回・前回をお読みでない方は、先にこちらからどうぞ♪
▼前々回記事はこちら
不登校の原因とは?〜具体的な解決法をお伝えします〜
▼前回記事はこちら
親として不登校の子供と、どのように関わればいいのか?
なぜ「初期」と「後期」を、あえて同じ記事でお伝えするのか?
「行き渋り」の初期段階と、不登校後期の動き出す時の後押し。この両者には、時期も、お子さんの状態も一見まったく違って見えます。
でも、親御さんの中で起きていることは、実はほとんど同じとも言えます。
それは、
「今、動いていいのか。それとも、まだ待つべきなのか」
という、判断のタイミングへの迷いです。
行き渋りの朝、「休ませていいのか、それとも背中を押すべきか」で迷う。動き出すサインが見えた時、「今、後押ししていいのか、まだ待つべきか」で迷う。
構造としては、まったく同じ問いを、時期を変えて何度も突きつけられているだけなんです。だからこそ、この二つを一緒にお伝えすることで、「見極める」という一つの感覚として、身につけてもらえたらと思っています♪
①「行き渋り」のサインを見逃さない
カウンセラーとして数多くのご相談をお受けする中で感じるのは、行き渋りのサインというのは、実は親御さんの方が先に「あれ?」と違和感を覚えていることが多い、ということです。
理屈より先に、直感的な違和感がある場合、それを軽視しない方がいいというのが、私の見解です。
行き渋りは、ある日突然始まるわけではなく、たいてい予兆があります。
・朝、支度が異様に遅い
・「お腹が痛い」「頭が痛い」と、登校前だけ体調不良を訴える
・日曜の夜から、機嫌が悪くなる
・「休みたい」ではなく「今日は行きたくない気がする」という、あいまいな言い方が増える
国立教育政策研究所が公表している生徒指導リーフでも、欠席が本格化する前の「休み初め」の段階からの早期対応について記載されています。
生徒指導リーフ「不登校の予兆と初期対応」:国立教育政策研究所(文部科学省)
また、頭痛や腹痛、朝起きられないといった身体症状が先に出ているケースで病院へ行き、「起立性調節障害」と診断された経験のある方も多いかと思います。
起立性調節障害について:一般社団法人 小児心身医学会
※私が不登校であった90年代は起立性調節障害という言葉は浸透しておらず、当時は、不登校や行きしぶりで朝起きられず病院へかかると「脳貧血」「思春期調節障害」「自律神経失調症」となど言われることが多かったようです。当時の私にもその診断が下りました。
サインに気づいた時点で、「まだ大丈夫」と流さず、心に留めるよう意識するだけでも、後の対応がかなり変わってきます。
②行き渋りの朝、優先すること
行き渋りの朝は、親御さんも、とっさに「行かせるか、休ませるか」の二択で考えてしまいがちです。
でも、私がまずお勧めしているのは、その二択ではなく、
「今この子の心の状態はどんな状態なのだろう・・・?」
と考えてみることです。
無理に行かせることのリスクは後ほど触れますが、「一度休ませると癖になる」という不安から、メンタル不良を抱えたまま送り出してしまうケースは実際のご相談でも多くありますし、結果、後になってから「苦しい気持ちをわかってくれなかった」「ただ無理やり行かされた」とお子さんから恨まれたり、親子関係の悪化へつながることも大変多いです。
文部科学省の通知でも、不登校児童生徒への支援において、予兆への対応を含めた初期段階からの組織的な支援の必要性が明記されています。
不登校児童生徒への支援の在り方について(通知):文部科学省
「行かせるか、休ませるか」の前に、「今、この子はどんな気持ちでいるのだろう?」「心の状態は苦しいのかもしれない」と考えながら現実を見ることを意識してみてください。
この「現実」と「感情」を分けて捉える感覚は、拙著『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』の中で、親御さんの心を整理するワークとしてもお伝えしています。「現実:学校に行かない」「感情:学力や将来が心配」というふうに切り分けて書き出すだけでも、頭の中がかなり整理されます。
③無理に行かせることの本当のリスクとは?
これまで担当させていただいたご家族の中にも、「休ませたら甘えるだけだと思っていたのに、実際には数日休んだだけで自分から動き出した」というケースが、数えきれないほどありました。
逆に、無理に行かせ続けた結果、学校そのものへの恐怖心が強まり、解決までに何年もかかってしまったご家庭も見てきています。
もちろん、休ませればすべてうまくいく、というわけではありません。
ただ、私自身の臨床経験からいえば、「まず安全を確保する」という順番を飛ばしたケースほど、長期化しやすい傾向があると感じています。
「一度休ませたら、そのままずるずる休むようになるのでは?」
これは、本当によく聞かれる不安です。
ただ力ずくで行き渋りを乗り越えさせようとすると「親子関係が悪化」したり「恨まれ」たり、学校そのものが「恐怖の対象」としてより強く記憶に刻まれてしまうこともあります。そうなると、回復までにかえって長い時間がかかってしまうケースも、実際に少なくありません。
「休ませること」は、「あきらめること」ではありません。
不安に飲まれず、自己受容をしながら「この子は今どんな気持ちなのだろう?」と考えたり、「しっかりお子さんの気持ちを聞く」(話してくれなくても気持ちを察してみる)ことをするステップの次に、初めてさらなる一手を考える。
この順番の方が、私のカウンセラーとしての経験上は結果的に近道になることが多いようです。
自己受容が、なぜ不登校解決の入口になるのかについては、こちらの記事でも詳しく触れています。
④「見守る」の先――動き出すサインの見つけ方
私自身、10代の頃に不登校を経験した当事者として、「動きたい」という気持ちは、本人の中でも自覚しにくい形で、少しずつ膨らんでいくものだと実感しています。
当時の私も「暇でやることがない」「寂しい」と感じた瞬間が、後から振り返ると再スタートの入口だったように思います。
だからこそ、こうした小さな変化を、親御さんが見逃さずにいてくれることには、本人が思っている以上の意味があります。
さて、ここからは、後半のテーマです。
前回、「見守る」というのは「何もしない」ことではない、というお話をしました。
見守り続けていると、ある時から、お子さんの中に小さな変化が出てくることがあります。
「暇だな」という言葉が出るようになる
部屋から出てくる時間が、少しずつ増える
ゲームや動画以外のことに、興味を示す
「〇〇(きょうだいや友達)は、最近どうしてる?」と、外の世界の話題を自分から出す
学校へ行こうかな、勉強をしようかなと口にするようになる
これらは、「そろそろ動きたい」という気持ちが、水面下で育っているサインであることが多いです。
見守りの期間、生活リズムやオンラインゲームとの付き合い方が気になる方は、こちらもあわせてどうぞ。
より具体的なサインや段階については、拙書2冊でもお伝えしておりますので参考にされてください。
📖 『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』(今野陽悦・著/WAVE出版)
📖 『学校に行けない子どもに伝わる声がけ』(今野陽悦・著/WAVE出版)
⑤背中を押すタイミングの見極め方
このサインに気づいた時、多くの親御さんは、「今がチャンスかもしれない」と、一気に踏み込みたくなります。
ただ、ここで焦って背中を押しすぎると、せっかく出てきた芽を、また閉じさせてしまい、結果的にさらに親子関係が悪化したり状態がぶり返したり、もっと苦しい状況となるケースが少なくありません。
こうした事から私がおすすめしているのは、サインが「一回」ではなく、「複数回・複数の形」で出てきているか、ということです。
一度だけの変化なのか、それとも数日続いているか
言葉だけでなく、行動にも表れているか
この二つが揃ってきたら、それは「タイミングが来ている」サインとも言えるかと思います。
声のかけ方については、拙著『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』でもお伝えしている、子どもと接するときの基本を意識してみてください。
特に大事なのは、次の3つです。
①子どもを見る――スマホや家事の手を止めて、少しの時間でいいので、ちゃんと子どもの方を見て話す。
②子どもの話を聞く――話の内容を評価したり誘導したりせず、まず最後まで聞く。
③子どもと話をする――一方的な報告や説教ではなく、対話として言葉を交わす。
そして、声のかけ方そのものも、大きな提案ではなく、
「一緒に〇〇してみない?」
「最近はどんな事を考えてるの?」
というふうに、重たくなく断ってもいい形で、軽く差し出すのがコツかと思います。
また、お子さんが集団の中で力を発揮するタイプか、一人で物事を進める方が力を発揮するタイプかによっても、響く声かけは変わってきます。
この「集団タイプ・個人タイプ」の違いについても、同書で詳しく触れていますので、よろしければ参考にしてみてください。
断られても、それは失敗ではありません。「今はまだ、その一歩ではなかった」というだけです。
私が最も敬愛する心理学者の一人であるミルトン・エリクソン(Milton H. Erickson, 1901–1980)は、
「人は、自分を理解してくれる人のために変わるのではない。自分のことを理解しようと心がけてくれる人のためだけに、変わろうとする」
“People do not change for someone who understands them. They change for someone who makes an effort to understand them.”
という趣旨のことを述べています。
声をかける時、答えが正しく返ってくるかどうかより、「理解しようとする姿勢そのもの」を大事にしてみてください。
⑥後押ししたのに動かなかった時
これは、私が実際のカウンセリングの現場で何度も繰り返しお伝えしていることですが、「タイミングを外した」という経験そのものは、決して無駄にはなりません。
むしろ、その経験を通して、親御さんの中に「この子のペース」への解像度が上がっていきます。
何度か外しながら、少しずつ合ってくる、それが自然な過程だというのが、私の見解です😊
背中を押してみて、思うように動かなかった時、親御さんはがっかりしてしまうことがあります。
でも、ここで大切なのは、「動かなかったこと」を、子どもの失敗として扱わないことです。
「せっかく誘ったのに」ではなく、「今回はこのタイミングじゃなかったんだね」と、親自身の中で受け止め直してみてください。
見極めは、一度で完璧にできるものではありません。何度か「まだ早かった」を繰り返しながら、少しずつタイミングの感覚がつかめてくるものです。
「解決する・しない」の分かれ目についても、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
まとめと次回からは・・・
今回は、「行き渋りの初期対応」と「動き出す時の背中の押し方」について、あえて一緒にお伝えしました。
・行き渋りのサインは、予兆の段階で気づく
・朝は「行かせるか休ませるか」の前に「今、この子はどんな気持ちか」を優先する
・無理に行かせることは、回復を遠回りにすることがある
・動き出すサインは、複数回・複数の形で出てきているかを見る
・背中を押す時は、断ってもいい形で軽く差し出す
・動かなかった時も、それは失敗ではなく「今回のタイミングではなかった」というだけ
どちらの場面にも共通しているのは、「今、動くべきか、待つべきか」を、焦らず見極めるという一点です。
私自身も10代の頃、この「見極め」の難しさを、当事者として痛感していました。当時の実体験については、こちらの記事にも綴っています。
それでは今回もご覧くださりありがとうございます😊
ここの所は、
◾️改めて、不登校という現象とは?〜日本史上過去最多 35万人超えの現実〜
◾️不登校の原因とは?〜具体的な解決法をお伝えします〜
◾️親として不登校の子供と、どのように関わればいいのか?
◾️「登校しぶり・行き渋り」の初期対応と、子どもが動き出す時に背中を押すタイミングとは?
と、不登校についてシリーズでお伝えしてきました。
不登校という状態を理解すること。
なぜ学校へ行けなくなるのか、その背景を知ること。
実際に親として子どもとどう関わっていけばいいのか?
そして、不登校が始まる前、終わる前の背中の押し方。
まずはこの4つを知っていただくことで、解決へ向かうための大きな土台ができると私は考えています。
ただ、一口に「不登校」と言っても、小学生の不登校と中学生の不登校と高校生の不登校では、本質的な部分は変わらずとも具体的な部分では、子どもの発達段階も親としての関わり方も少しずつ違ってきます。
そこで次回からは、さらに具体的に、
「小学生の不登校」
「中学生の不登校」
「高校生の不登校」
と、それぞれの年代に分けながら、
・なぜ、その年代で不登校が起こるのか?
・子どもの心の中では何が起きているのか?
・親としてどのように関わればいいのか?
・そして、そこからどのように解決へ向かっていけばいいのか?
について、私自身の経験や、これまで多くの不登校のお子さん・親御さんと関わってきた経験も交えながら、できるだけ具体的にお伝えしていきたいと思います♪
次回の記事では、まず「小学生の不登校」をテーマに取り上げます。
小学生ならではの不登校の原因や特徴、子どもの心の中で起きていること、そして親としてどのように関わっていけばいいのかを、具体的にお伝えしていきます。
同じ「学校へ行けない」という状態でも、年齢によって必要な関わり方は変わりますので、ぜひ次回の記事も、お子さんを理解するための一つのヒントとして読んでいただけたら嬉しいです😊
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今野 陽悦
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